防災用ウォータータンクの選び方|個人・企業別に比較解説
災害への備えとして、最優先で確保すべきもののひとつが「水」です。
しかし、防災用ウォータータンクには多くの種類があり、いざ選ぼうとすると迷いやすいのも事実です。
「折りたたみ式とハードタイプはどっちが良い?」「雨水タンクはどう使う?」「企業はペットボトルより組み立て式水槽が良い?」
こうした悩みはすべて、「用途に合っていないタンク」を選ぶことで起こります。
さらに、家庭用と企業・自治体(BCP)用では、必要な容量や管理方法も大きく違います。
本記事では、ウォータータンクを個人用(家庭)と企業・自治体用(BCP)に分けて、それぞれに合った「正しい選び方」をわかりやすく解説します。
目次
【個人・家庭】生活環境と使い方で選ぶ3タイプ
家庭用の防災ウォータータンクを選ぶときに大事なのは、次の2点です。
・どこに収納・設置するか(スペース)
・水をどう使うか(飲み水か、トイレ・生活用水か)
ここでは、代表的な3タイプを比較していきます。
① マンション・運搬重視
避難所への移動やマンション住まいの方におすすめなのが、折りたたみ式ウォータータンクやウォーターバッグです。
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商品ページ:折りたたみ式ウォーターバッグ(30)
| メリット | ・使わないときは小さく畳めて、収納スペースをほとんど取らない
・本体が軽く、持ち運びやすい ・ウォーターバッグはリュック型のものが多く、両手が空くので安全 ・防災リュックに入るサイズのものが多く、10L〜20Lが主流 |
|---|---|
| デメリット/選び方のポイント | ・ハードタイプに比べて耐久性が劣る製品もある
・厚手フィルムや強化プラスチックなど、丈夫な素材を選ぶことが重要 ・室内で使う場合は、蛇口(コック)付きタイプだと注ぎやすい |
「給水所から水を運ぶこと」を重視するならウォーターバッグ、「自宅での一時保管と利用」を重視するなら、蛇口付きの折りたたみウォータータンクを選ぶと使いやすくなります。
② 一軒家・保管スペース重視
車での移動が前提で、物置やガレージなどに保管スペースを確保できる一軒家の方には、ハードタイプのポリタンクも選択肢に入ります。
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| メリット | ・非常に頑丈で、長期間の使用に耐えやすい
・積み重ね可能な製品もあり、安定して保管できる ・屋外に置いても劣化しにくい製品もある |
|---|---|
| デメリット/注意点 | ・どうしてもかさばり、収納スペースを圧迫する
・内部をしっかり乾燥させにくく、カビが発生しやすい ・満水時は非常に重く、給水所から手で運ぶのは現実的ではない(台車が必要) |
「車で運ぶ」「敷地内で使う」シーンが多い場合に向いたタイプといえます。
③ 生活用水を自動で確保
一軒家の庭やベランダに設置して、雨どいから雨水をためる「雨水タンク」も、防災対策として注目されています。
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商品ページ:組み立て式雨水貯水タンク
| メリット | ・普段から庭木の水やりや洗浄などに使うことで、いざという時も使い方に慣れている
・雨さえ降れば自動的に水がたまるため、生活用水の備えとして心強い ・ランニングコストがほとんどかからない |
|---|---|
| デメリット/選び方のポイント | ・基本的に飲み水には不向きで、トイレや掃除用など生活用水としての利用が前提
・ボウフラ対策として、メッシュ加工やフタの構造などを確認する必要がある ・100L〜200Lなど容量が大きいため、設置スペースを事前にチェックする |
「飲料水は別で備蓄し、トイレや洗浄用の水を確保したい」という一軒家のご家庭に特におすすめです。
【企業・自治体】「大量備蓄」はペットボトルだけでは不十分
企業や自治体では、従業員や来館者、帰宅困難者など数百人単位の水を確保する必要があります。
家庭用タンクをたくさん並べるイメージとは、スケールがまったく異なります。
ここでは、多くの現場で採用されている次の2つを比較します。
① 手軽だが限界も多い「ペットボトル備蓄」
500mlや2Lのペットボトルによる備蓄は、多くの企業が採用している方法です。
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| メリット | ・配布しやすく、誰でもすぐに飲める
・衛生的で、導入時のハードルが低い |
|---|---|
| デメリット/選び方のポイント | ・人数分を用意すると、数百〜数千本単位になり、倉庫スペースを大きく圧迫する
・賞味期限の管理・入れ替えが負担になりやすい ・トイレ洗浄などの生活用水として使うには量が足りず、コスト的にも現実的ではない |
飲料水としての備蓄には適していますが、「生活用水も含めたトータルの水対策」という観点では、ペットボトルだけでは限界があります。
② BCPの新常識!大容量で省スペースな「組み立て式水槽」
近年、企業や自治体のBCP対策として導入が進んでいるのが、折りたたみ収納が可能な「組み立て式水槽(仮設給水タンク)」です。
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商品ページ:パイプ式貯水槽
| メリット | ・1,000L以上の大容量を一度に確保でき、ペットボトル数千本分に相当する
・平時は折りたたんで保管できるため、倉庫スペースを大きく取らない ・トイレ洗浄や手洗い、洗浄作業など、生活用水として大量に使用できる ・工具不要で、短時間(数時間程度)で組み立てられる製品も多い |
|---|---|
| デメリット | ・使用時には設置作業が必要で、あらかじめ手順を決めておく必要がある |
とはいえ、BCPで課題となりやすい「トイレ用水」や「生活用水」をまとめて確保できる点は、大きなメリットです。
ペットボトル備蓄と組合せて導入する企業も増えています。
まとめ:最適なタンク選びは災害後の行動から逆算する
防災用ウォータータンクは、災害が起きたあとに「自分や家族、職場がどのように行動するか」から逆算して選ぶことが大切です。
例えば、給水所まで歩いて水を取りに行くシーンが想定されるなら、軽量で持ち運びやすい折りたたみタンクやウォーターバッグが役立ちます。
一方、在宅避難で数日過ごすことを前提にするなら、雨水タンクやハードタイプのタンクが生活用水の確保に強みを発揮します。
企業や自治体では、飲料水だけでなく「トイレを流す水」「洗浄に使う水」など、生活インフラを維持するための水も重要です。
つまり、タンク選びのポイントは「どれだけ水を貯められるか」ではなく、「災害時にその水がどの場面で使われるか」です。
行動と環境にマッチしたタンクを備えておくことで、実際の緊急時に慌てることなく、落ち着いて対応できるようになります。
今のうちに自分たちに合った備えを見直し、必要なタンクを選んでおくことが、命と生活を守る確かな一歩になります。
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