災害時の水の備蓄は何日分必要?3日分では足りない理由と実際の復旧期間

「災害に備えて、水は3日分(一人1日3L×3日=9L)を備蓄しましょう」

これは、防災対策として広く知られた「常識」です。

しかし、その「3日分」はあくまで命をつなぐ最低限の飲料水にすぎません。

もし「ペットボトル9Lあるから大丈夫」と思っているなら、その安心は危険かもしれません。

なぜなら、その「3日」は「救助が本格化するまでの最低限の生存期間」であり、水道インフラの復旧期間とはまったく異なるからです。

この記事では、災害用の水備蓄の「常識」をアップデートし、過去の震災データをもとに、個人・家庭と企業(BCP)それぞれに本当に必要な備蓄量を解説します。

 

水道インフラの復旧期間は「30日目標」でも実際は数ヶ月

水の備蓄が何日分必要かを考えるうえで最も重要なのが、水道が何日で復旧するのかという「水のインフラ復旧期間」です。

内閣府が公表している「首都直下地震」や「南海トラフ地震」の想定では、上下水道の応急復旧目標は30日とされています。

一見「1ヶ月ならなんとかなる」と思いがちですが、これはあくまで「目標」であり、実際には大きく遅れることも珍しくありません。

 

過去の震災における「水道復旧期間」の実績

・2024年 能登半島地震:約5ヶ月(1月1日発生 → 5月末に本管復旧)

・2016年 熊本地震:約3ヶ月半(4月14日発生 → 7月末に全戸復旧)

・2011年 東日本大震災:約6ヶ月半(3月11日発生 → 9月末に全戸復旧)

被害が甚大な場合、水道の完全復旧には3〜6ヶ月(=約90〜180日)を要することが現実として起きています。

政府の目標「30日」ですら「3日分の備蓄」では到底足りず、実際の復旧期間を考えると「長期戦」を前提に備える必要があります。

 

「3日分」では足りない理由:飲料水と生活用水のギャップ

水の備蓄が3日分では足りない最大の理由は、飲料水しか想定していない点にあります。
人が生きていくうえで、水は「飲む」だけではなく、日常生活のあらゆる場面で必要です。

・トイレ(最も大量の水を使用)

・衛生(手洗い・洗顔・歯磨き・身体を拭くなど)

・炊事(調理・食器洗い)

・洗濯(断水が長期化すれば必須)

断水が長引くほど、生活用水の不足が深刻な問題になります。

飲料水だけでなく、トイレ・衛生・調理といった生活インフラを支える水の確保が、被災生活のQOLを大きく左右します。

したがって、水の備蓄が一人あたり何リットル必要かを考える際は、飲料水(1日3L)に加え、生活用水として最低でも1日数L〜十数Lを見込むことが現実的です。

 

【対象別】本当に必要な災害時の水の備蓄量とは?

1. 個人・家庭の場合

飲料水 最低でも1週間分(できれば2週間分)

⇒ 一人3L × 7日 = 21L(ペットボトルなどでローリングストック)

生活用水 備蓄できる限り多く確保を。

災害時には以下の方法を組み合わせましょう。

折りたたみ式ウォータータンクなどを使い、水道水を汲み置く

・お風呂の残り湯をトイレ洗浄用に活用(※衛生管理に注意)

・給水所で水をもらうための「ウォーターバッグ」を準備する

💡ワンポイントアドバイス

もしご家庭にあれば、キャンプ用のウォータージャグを非常用として活用するのもおすすめです。

日常的に使用するものを防災用品と兼ねる「日常備蓄」スタイルが理想的です。

 

2. 企業・自治体(BCP)の場合

企業や自治体は、従業員や地域住民の命と生活を守る責任があります。

BCP対策における水の備蓄は、事業継続の基盤です。

飲料水 従業員数 × 3日分(最低限)〜1週間分(推奨)

⇒ まずは「最低3日分」を確保し、段階的に拡充を。

生活用水 絶対に欠かせません。トイレが使えなければ、従業員が出社できず、事業が停止します。

ペットボトル備蓄だけでは対応できないため、非常用トイレと合わせて、大容量の水を確保できる設備の導入が重要です。

👉 企業向けのBCP水備蓄や仮設給水タンクについては、こちらもご覧ください。

災害用水槽・貯水タンク特集ページへ

 

長期の断水に備えるための「具体的な備蓄ツール」

ペットボトルの備蓄だけでは、数ヶ月に及ぶ断水を乗り切るのは非現実的です。

給水車を待つにも時間がかかり、配水の列で重い水を運ぶことも負担になります。

そこで重要なのが、自分で水を貯めて・運べる備蓄ツールです。

ペットボトル(飲料水) 基本の備え。ローリングストック法で常に新しい状態に保つ。
ウォータータンク・ウォーターバッグ 折りたたみ式タイプなら保管場所に困らず、給水所での運搬にも便利。
組立式水槽・仮設給水タンク 企業・自治体・マンション向け。数千〜数万L単位の水を備蓄可能。

これらを導入することで、飲料水だけでなく「トイレ」「衛生」といった生活用水の問題も解決できます。

事業継続や避難所運営においても非常に有効です。

 

「3日分はスタートライン」。今すぐ備蓄を見直そう

災害時の水の備蓄において「3日分」は、ゴールではなく最低限のスタートラインです。

過去の震災が示すように、水道の復旧には数ヶ月を要するケースも少なくありません。

今すぐご家庭や職場の備蓄状況を見直し、「飲料水」+「生活用水」の両面から備えを強化しましょう。

折りたたみ式ウォータータンクや仮設水槽など、「貯める備え」が命と生活を守ります。

 

→ すべての貯水製品を見る

→ 貯水関連の導入事例集のダウンロードはこちら

→ お問い合わせフォームはこちら

関連コラム記事

用途で選ぶ!貯水ツール容量別比較|パイプ式からウォーターバッグまで

30Lの携帯用から1000t級の大型タイプまで、ワン・ステップの貯水ツールを容量別に比較。防災・工場・建設など、用途に合った貯水タンク選びに役立ちます。

防災・減災に役立つ新商品!止水板シリーズをリリースしました

ワン・ステップの新商品「止水板シリーズ」をリリースしました。「L1・M1・M2・止水チューブ」の4タイプをラインアップ。住宅玄関から工場のシャッター前、店舗や倉庫まで、あらゆる現場で簡単に設置できる水害対策アイテムです。

防災・BCP対策に最適!貯水関連の新商品をリリースしました

防災・減災・BCP対策に役立つ新しい貯水ツールを一挙にご紹介。大型・小型貯水タンク、水嚢、ウォーターバッグ、雨水タンクなど、災害時から平時の備蓄まで幅広く活用できるラインアップです。

防災の日に「防災啓発に関する共同宣言」を行いました

北九州市小倉南区役所で「防災啓発に関する共同宣言」が行われました。企業・NPO・行政が連携し、防災訓練やイベントを通じ地域の防災力向上を目指します。

災害時の水対策:自治体・企業の備蓄と調達ガイド

災害時に自治体や企業が知るべき水の備蓄と調達方法を解説。一人あたりの水必要量から、災害用貯水タンク、給水車の配備、民間協定まで、防災担当者向けの具体的なノウハウを網羅。

宮崎本社
0985-64-5399
関東支店
043-497-6088
お問合せ
資料をダウンロード