災害時の生活用水確保|断水でもトイレ・衛生を守る備蓄術

災害時の備えといえば「飲料水」が真っ先に思い浮かびますが、実はもっと深刻なのが生活用水の確保です。

前回の記事で、災害時の水道インフラ復旧には数週間から数ヶ月かかる可能性があること、そして「3日分の備蓄」では全く足りない現実をお伝えしました。

飲料水の備蓄はもちろん最重要ですが、生命を維持できたとしても、次に襲い来るのが「災害時での生活用水の確保」という大きな壁です。

水が飲めても、トイレが流せない、手が洗えない、洗濯もできない。

この災害時での生活用水の枯渇こそが、被災生活の質(QOL)を著しく低下させ、衛生環境の悪化から関連死(災害関連死)を引き起こす最大の要因の一つとなります。

この記事では、見落とされがちな災害時での生活用水の重要性と、具体的な確保策について深掘りします。

 

災害時での生活用水の必要量

まず、災害時の生活用水の必要量は、飲料水の「1日3L」とは比較にならないほど多いことを認識しなくてはなりません。

・飲料水:1人1日 3L(最低限)

・生活用水:1人1日 10〜20L以上(最低限の衛生・トイレを想定)

※出典により変動はありますが、平時の日本人は1人1日200L以上を使用しています。

 

ここでの生活用水とは、具体的には以下の用途を指します。

・トイレの洗浄(最も水量が必要)

・手洗い・洗顔・歯磨き

・ケガの洗浄

・食器洗いや調理

・(長期化すれば)洗濯・入浴

このように災害での生活用水の必要量は飲料水の何倍も必要であり、ペットボトルだけで賄うのは非現実的です。

 

断水時の最大の課題:「トイレ」と「衛生」問題

生活用水の備蓄が尽きてしまったとき、どのような問題が起こるのでしょうか。

災害時の断水で特に深刻なのが、「トイレ」と「衛生環境」の悪化です。

 

課題①:断水でトイレが使えない

災害時、最も早く困るのが断水によるトイレの問題です。

水洗トイレは1回で4〜6Lもの水を使うため、対策をしていなければすぐに使えなくなります。

家庭では汚物が溜まり悪臭や害虫が発生し、企業ではトイレが使えず業務が止まることも。

避難所では衛生状態が悪化し、ノロウイルスなどの感染症が広がる恐れがあります。

「トイレ用の水の備蓄」を怠ることは、被災生活の中でも最もつらい経験の一つとされています。

快適さだけでなく、健康と衛生を守るためにも、トイレ用の生活用水を確保しておくことが大切です。

 

課題②:お風呂の残り湯と衛生対策

断水時の対策として「浴槽の残り湯を再利用する」方法は、初期対応としては有効です。

トイレの洗浄水として使えますが、長期の断水では限界があります。

残り湯は雑菌が多く衛生的には不向きで、量も少なく数回で使い切ってしまいます。

また、災害発生時にちょうど浴槽に水が溜まっているとは限りません。

お風呂の残り湯は「初動対応の数回分」と考え、それ以降に備えて清潔な水を確保できる「生活用水の備蓄タンク」や「ウォーターバッグ」を準備しておくことが大切です。

 

【解決策】長期断水を乗り切る「生活用水」備蓄術

「お風呂の残り湯」や「給水所」だけでは、長期にわたる断水生活は乗り切れません。

水は「貯める」「運ぶ」ための専用ツールを準備しておくことが、生活用水の確保には欠かせません。

 

解決策①:家庭・個人向け

家庭で生活用水を備蓄する際は、折りたたみ式のウォータータンクがおすすめです。

軽くて保管しやすく、蛇口付きタイプなら手洗いや食器洗いにも使いやすく便利です。

商品ページ:小型貯水タンク

 

また、給水所から自宅まで水を運ぶには、ウォーターバッグが欠かせません。

さらに、ウォーターバッグを小分けにして家のトイレやキッチンなど家の各所に置いておくと、断水時の使い勝手が格段に良くなります。

「どこでもすぐに水が使える」環境を整えておくことが、災害時のストレスを減らす大切な備えです。

商品ページ:折りたたみ式ウォーターバッグ

 

解決策②:企業・自治体向け

企業や自治体では、ペットボトルや家庭用タンクでは水量がまったく足りません。

組み立て式水槽(非常用水槽・貯水槽タイプ)を導入すれば、平常時はコンパクトに保管でき、災害時には数千〜数万リットルの生活用水を確保することが可能です。

特に、トイレ用水や衛生用水として活用できるため、企業における断水時のトイレ問題や、避難所での衛生対策の根本的な解決につながります。

事業継続計画(BCP)や地域防災計画においても、組み立て式水槽は今や欠かせない備蓄アイテムの一つです。

商品ページ:パイプ式貯水槽

 

まとめ|生活用水の備えが、災害時の「尊厳」を守る

災害時の水対策は、「飲料水」と「生活用水」の2軸で考えることが重要です。

特に生活用水の備蓄は、健康や衛生、そして人としての尊厳を守るために欠かせません。

「お風呂の残り湯」だけに頼る対策から一歩進み、家庭ではウォーターバッグやウォータータンクを。

企業や自治体では、組立式水槽の導入を検討しましょう。

今こそ、自分や職場の生活用水備蓄を見直してみてください。

それが、いざという時に「命と生活を守る」第一歩になります。

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