止水板の性能と選び方|JIS規格・保険適用ラインから考える浸水対策
「大切な資産を守るために導入するのだから、確実な効果があるものを選びたい」
「止水板は種類が多いけれど、何を基準に選べばいいのだろう?」
水害対策への関心が高まる中、さまざまな止水板(防水板)が登場しています。
しかし、形状や素材は多岐にわたり、カタログや価格だけで「本当に浸水を防げるのか」を判断するのは難しいケースも少なくありません。
確実な水害対策を行うためには、製品の見た目やイメージではなく、客観的な「性能規格」と設置環境に合わせた「選定基準」を知っておくことが不可欠です。
この記事では、止水板の性能を見極めるためのJIS規格や、導入後に後悔しないための選び方のポイントについて、分かりやすく解説します。
止水板の性能を示す「JIS規格」とは
止水板の性能を客観的に判断する指標の一つに、日本産業規格(JIS)が定める「JIS A 4716(浸水防止用設備建具型)」という規格があります。
これは、止水ドアや止水板がどれだけの水圧に耐え、どの程度の止水性(漏水を防ぐ性能)を持っているかを試験し、等級分けしたものです。
JIS規格の主な評価内容
①等級(Ws値)
漏水量の程度に応じてWs-1からWs-6の等級が定められています。
②試験内容
水槽に製品を設置し、実際に水を貯めて水圧をかけ、漏水量や構造の変形、破損の有無などを厳格に測定します。
「水害対策済み」「止水性能あり」と謳っていても、その根拠は製品によって大きく異なります。
導入を検討する際は、JIS規格への対応状況や、メーカーが公開している止水実験データなど、客観的な裏付けがあるかどうかを必ず確認しましょう。
| JIS等級 | 漏水量 | 技術評価基準 |
|---|---|---|
| Ws-6 | 1ℓ/(h・㎥)以下 | 5等級 |
| Ws-5 | 1ℓ/(h・㎥)を超え4ℓ/(h・㎥)以下 | 4等級 |
| Ws-4 | 4ℓ/(h・㎥)を超え10ℓ/(h・㎥)以下 | 3等級 |
| Ws-3 | 10ℓ/(h・㎥)を超え20ℓ/(h・㎥)以下 | 2等級 |
| Ws-2 | 20ℓ/(h・㎥)を超え50ℓ/(h・㎥)以下 | 1等級 |
| Ws-1 | 50ℓ/(h・㎥)を超え200ℓ/(h・㎥)以下 |
失敗しない止水板の選定ポイント3選
どれほど高い性能を持つ止水板でも、設置する場所や条件に合っていなければ、効果は十分に発揮されません。
ここでは、最適な止水板を選ぶために確認すべき、3つの重要な基準を紹介します。
ポイント1. 高さの基準(ハザードマップと保険適用ライン)
止水板選定の基本となるのが「高さ」です。
自治体が公表しているハザードマップで想定浸水深を確認するのはもちろんですが、もうひとつ重要なのが「火災保険(水災補償)の適用条件」です。
一般的な火災保険の水災補償では、支払いの要件として「床上浸水」または「地盤面より45cmを超える浸水」が基準とされています。
【重要】45㎝を超えるかどうかで何が変わるのか?
火災保険(水災補償)の適用有無 比較表
| 項目 | 保険適用されないケース | 保険適用されるケース |
|---|---|---|
| 浸水状態 | 床下浸水のみ | 床上浸水 |
| 浸水深 | 地盤面から45㎝未満 | 地盤面から45㎝以上 |
| 保険金支払い | 原則対象外 | 原則対象 |
| 清掃・消毒費 | 自己負担 | 補償対象になる場合あり |
| 建物修繕費 | 自己負担 | 補償対象 |
参考例①:保険が適用されないケース(浸水30㎝)
・大雨により敷地が冠水
・浸水深:約30㎝(床下浸水)
一見軽微に見えますが、「床下の泥・汚水の除去」「消毒・防カビ処理」「設備点検」はすべて自己負担となるケースが多く、
数十万円以上の復旧費用が発生することもあります。
参考例②:保険が適用されるケース(浸水50㎝)
・台風による豪雨
・浸水深:約50㎝~60㎝(床上浸水)
この場合、「建物修繕」「床材・内装交換」「清掃・消毒」が水災補償の対象となる可能性が高く、自己負担を大きく抑えられます。
なぜ「50㎝以上の止水対策」が現実的なのか
![]() |
・45㎝未満 → 保険が出ない+復旧費用は高額
・45㎝以上 → 保険は出るが、被害自体が甚大
つまり、最もリスクが高いのは「中途半端な浸水」です。
そのため、高さ50㎝以上の止水対策で物理的に水を入れないことが、最も合理的なリスク回避策となります。
ポイント2. 耐水圧性能(構造強度)
止水板は、溜まった水の強い水圧に耐える必要があります。
・広い間口の場合:中央部分が水圧でたわまない構造か
・スロープ下など:流速を伴う水に耐えられるか
水深が深くなるほど水圧は指数的に増大するため、構造強度の確認は必須です。
ポイント3. 設置場所との適合性(止水性)
どれほど強度が高くても、壁や床との接地面に隙間があれば水は侵入します。
・コンクリートか、アスファルトか、タイルか
・地面はフラットか、傾斜があるか
・パッキン、接地部が地面に密着できるか
止水性能を左右する最大の要因は、「設置面との相性」です。
水圧を利用して高さをカバーする「ウォーターフェンス」の止水効果
弊社の「ウォーターフェンス」は、高い止水性能と設置のしやすさを両立した止水対策製品です。
![]() |
水圧を利用した「自己圧着構造」
置くだけで設置することで、流れてきた水が底面部分に乗る構造になっており、
その「水の重さ」がそのまま止水板を地面に押し付ける力として作用します。
水圧が敵になるのではなく、水圧を固定力として活用させるため、アンカー工事などがなくても高い安定性と止水性を発揮します。
柔軟なPVC素材による高い密着性
素材にはPVC(塩化ビニル)を採用。
・微細な凹凸
・経年劣化による段差
にも追従し、浸水原因となる隙間を極限まで抑制します。
まとめ:確かな根拠のある製品選びを
今回は、止水板の耐水性能について解説しました。
水害から大切な資産を守るためには、「なんとなく」ではなく、規格や構造的根拠に基づいた製品選びが重要です。
・JIS規格などの客観的な性能指標を確認する
・ハザードマップに加え、保険適用の「45cmライン」を意識した高さを選ぶ
・水圧を利用するメカニズムなど、合理的な構造のものを選ぶ
弊社のウォーターフェンスは、水圧を利用して止水効果を高める独自構造により、さまざまな浸水シーンで高い効果を発揮します。
設置場所の状況に合わせた最適なご提案も可能ですので、性能面で不安がある方もぜひ一度ご相談ください。
関連コラム記事
-
-
【新製品】車両をぐるっと囲んで止水する「車両用ウォーターフェンス」2026年1月リリース
ゲリラ豪雨や台風による浸水被害から車両や工場設備を守る「車両用ウォーターフェンス」をご紹介。2026年1月正式リリース予定。オーダー製作・先行相談受付中。 -
-
土嚢(土のう)の代わりは止水板?重さや処分、設置の手間を徹底比較
土のうの代わりをお探しですか?重くて処分に困る土のうと、軽量で再利用可能な止水板(ウォーターフェンス)の設置時間やコストを徹底比較。工事不要で女性でも設置できる置くだけタイプの止水板のメリットや、砂利やデコボコ地面への対応力についても解説します。 -
-
止水板(防水板)とは?意味や効果、置くだけでできる水害対策の種類を徹底解説
止水板(防水板)とは?意味や効果、防潮板との違いを初心者向けに徹底解説。重い土のうはもう不要!工事なしで「置くだけ」で設置できるL型タイプや、マンション・店舗・家庭で使える種類を紹介します。ゲリラ豪雨や内水氾濫への対策を検討中の方必見です。 -
-
止水板とは?土嚢との違い・種類・設置例を徹底解説
家庭でもできる水害対策として注目の「止水板」。本記事では、「止水板とは?」の基礎知識から、土嚢との違い、種類別の特徴、設置例までを徹底解説します。工事不要で簡単に使えるエア防災の「ウォーターフェンス」も紹介。ゲリラ豪雨・浸水被害に備える第一歩を。 -
-
防災・減災に役立つ新商品!ウォーターフェンスシリーズをリリースしました
ワン・ステップの新商品「ウォーターフェンスシリーズ」をリリースしました。「L1・M1・M2・止水チューブ」の4タイプをラインアップ。住宅玄関から工場のシャッター前、店舗や倉庫まで、あらゆる現場で簡単に設置できる水害対策アイテムです。


