企業が警戒すべき「内水氾濫」とは?豪雨・台風の激甚化で高まる浸水リスクと原因

「当社の拠点は一級河川から離れているため、水害リスクは低いと判断している。」

BCP(事業継続計画)策定において、過去のハザードマップだけを頼りに安全性を判断されている企業様は多いのではないでしょうか。

しかし近年、気候変動の影響により「台風の大型化」や「線状降水帯による集中豪雨」が頻発しています。

これに伴い、河川の決壊が起きていない地域でも、オフィスビルや工場の1階・地下階が水没する被害が後を絶ちません。

その主たる原因が、都市部特有の水害である「内水氾濫(ないすいはんらん)」です。

この記事では、激甚化する気象状況の中で、なぜ川から遠い立地の企業でも浸水被害に遭うのか、その原因とメカニズムについて解説します。

 

企業が知っておくべき「外水氾濫」と「内水氾濫」の違い

水害には大きく分けて2つの種類があります。

「川が近いかどうか」だけでなく、「雨の量」そのものがリスクになる時代においては、両者の違いを正しく理解しておく必要があります。

 

外水氾濫(がいすいはんらん):河川からの越水

一般的に「洪水」と呼ばれるものです。

台風や長雨によって河川の水位が上昇し、堤防を越えたり決壊したりすることで発生します。

 

内水氾濫(ないすいはんらん):排水不能による都市型水害

今、企業が特に警戒すべきはこちらのタイプです。

河川が溢れるのではなく、「敷地や道路に降った大量の雨」が排水しきれずに地上に溢れ出す現象です。

特にオフィス街や工業団地などの都市部は、地面がアスファルトやコンクリートで覆われているため、雨水が地中に浸透しません。

その結果、降った雨のすべてが下水道や側溝へ一気に集中し、パンクしてしまうことで発生します。

 

なぜ浸水するのか?「雨の激甚化」と「排水能力」のギャップ

「都市部の排水インフラは整備されているはずなのに、なぜ?」と疑問に思われるかもしれません。

そこには、インフラの設計基準を遥かに超える「近年の雨の降り方の変化」が関係しています。

 

インフラの限界は「時間雨量50mm」

日本の多くの下水道は、概ね「1時間に50mm程度」の雨量を処理できるように設計されています。

これまでの通常の雨であれば、この能力で十分に街のドライな状態を維持できていました。

 

台風・ゲリラ豪雨は「時間100mm」級へ

しかし近年は、気候変動により台風が勢力を維持したまま上陸したり、「線状降水帯」が発生したりすることが増えています。

これらによる雨量は、1時間に80mm〜100mmを超えることも珍しくありません。

処理能力(50mm)の倍近い雨(100mm)が降れば、溢れた分はマンホールや側溝から地上へ逆流します。

「昔は大丈夫だった」という経験則が通用しないのは、この雨の激甚化が最大の要因です。

 

オフィスビル・工場特有の「浸水ウィークポイント」

こうした豪雨の際、特に被害を受けやすいのが、企業施設によく見られる以下の構造です。

 

地下階・半地下設備(駐車場・機械室)

水は低いところへ流れます。道路冠水が発生すると、地下駐車場や地下の受変電設備、機械室などは、雨水を一手に引き受ける「貯水槽」のようになってしまいます。

電気設備が水没すれば全館停電となり、長期間の操業停止に直結します。

 

スロープ・搬入口

物流倉庫や工場の搬入口、地下駐車場へのスロープは、道路から溢れた水が勢いよく流れ込む経路となります。

傾斜があるため流速が速く、土のうを積む時間的猶予がないケースが大半です。

 

浸水が企業に与えるダメージとBCP対策

企業にとっての浸水被害は、単なる「床掃除」では済みません。

・操業停止(ダウンタイム): サーバーや製造ラインの停止による機会損失。

・資産の喪失: 商品在庫、車両、精密機器の水没廃棄。

・清掃コスト: 流入した汚泥の撤去・消毒、産業廃棄物の処理費用。

 

物理的な防御「止水板」の有効性

台風の進路やゲリラ豪雨の発生をコントロールすることはできません。

そのため、最も確実なBCP対策は、「建物の中に水を入れない」物理的な防御です。

浸水の入り口となる「開口部(出入り口)」に止水板(防水板)を設置することで、被害を最小限に抑えることができます。

特に、工事不要で設置できる弊社の「ウォーターフェンス」のような製品であれば、テナントビルや既存の工場でもすぐに導入でき、突発的な豪雨にも即座に対応可能です。

商品ページ:ウォーターフェンス L1

 

まとめ:気候変動リスクを織り込んだ対策を

激甚化する豪雨や台風による浸水の原因について解説しました。

・近年の台風やゲリラ豪雨は、インフラの排水能力を超えやすい

・川が近くになくても、下水が溢れる「内水氾濫」のリスクがある

・地下設備やスロープは特に水没しやすく、被害額が甚大になりやすい

「想定外の雨」が常態化している今、行政のインフラ整備を待つだけでは資産を守りきれません。

まずは自治体の「内水ハザードマップ」を確認し、リスクのある開口部への止水板設置など、具体的な自衛手段を検討することをお勧めします。

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